かまどベンチ、座ったことありますか。9月1日の前に知っておきたい東京の防災公園

いつも座っているあのベンチ、座面を外すと「かまど」になるかもしれません。9月1日は防災の日。公園というと遊具や芝生を思い浮かべますが、東京の公園にはもうひとつの顔があります。災害が起きたとき、人が集まり、火を起こし、水を汲み、夜を明かす場所としての顔です。
この記事では、東京の「防災公園」がどういう場所なのか、公園にはどんな防災設備があるのかを見たあと、都内の防災公園を6か所たどります。最後に、自分の街の防災公園をどう調べるかまでまとめました。散歩のついでに設備の場所を覚えておくだけでも、いざというときの動き方が変わります。
防災公園とは、どんな公園か
東京都は、都立公園のうち特定の役割を与えられたものを「防災公園」と呼んでいます。東京都地域防災計画のなかで「大規模救出救助活動拠点」や「ヘリコプター活動拠点」に位置づけられた公園、あるいは火災などの危険から逃れるための「避難場所」に指定された公園がこれにあたります。都内には63か所あります。
役割は大きく3つに分かれます。避難場所として、震災時に広がる火災から人が身を寄せるための空間。大規模救出救助活動拠点として、広域から集まった支援・救助部隊が被災者の救出にあたるための足場。そしてヘリコプターの活動拠点として、上空から人や物資を運び入れるための着陸場所。どれも「広い」ことがそのまま機能になる、公園ならではの役割です。
公園に隠れている6つの防災設備
普段は気づかないだけで、公園にはさまざまな設備が仕込まれています。とくに大規模救出救助活動拠点になっている防災公園には、東京都公園協会が挙げる次のような設備が用意されています。ただし、どの設備がどこにあるかは公園ごとに違います。すべての防災公園に全部そろっているわけではありません。
- かまどベンチ:普段はベンチとして使われていますが、災害時には座る部分を外すと「かまど」になります。炊き出しの拠点になる設備で、ベンチによって形や使い方は多少異なります。
- マンホール型災害用トイレ:下水道が機能している場合に使えるトイレです。マンホールの蓋を外して便器を取り付け、テントを張って使います。
- 防災井戸ポンプ:手動で汲み上げる水道ポンプ。飲み水ではなく、生活用水を確保するための設備です。
- 防災パーゴラ:普段は日よけの棚ですが、テントをかけると救援スペースになります。傷病者の救護所や、体力のない方の避難施設として優先的に使われます。
- デジタルサイネージ:防災情報を表示する画面で、停電時にも動きます。
- 災害救援自動販売機:災害時に飲料を無償で提供する自動販売機です。
どれも、言われなければ通り過ぎてしまうものばかりです。だからこそ、平時に一度「これがそうか」と見ておく価値があります。
東京の防災公園を訪ねる
1. 神代植物公園(東京都調布市)
大規模救出救助活動拠点に位置づけられている公園です。緊急時にヘリポートとしても使える広場が確保されており、入口や園路の改修、防災トイレの整備、非常用照明の設置などが進められてきました。多くの植物を集めた植物園としての顔と、救助活動の足場という顔をあわせ持っています。
- 所在地:東京都調布市深大寺元町5-31-10
- アクセス:京王線「調布駅」から小田急バス(12番乗り場)吉祥寺駅・三鷹駅行き「神代植物公園前」下車
- 防災上の位置づけ:大規模救出救助活動拠点(芝生広場)
- 整備された設備:ヘリポートとして使える広場、防災トイレ、非常用照明
- 注意:入園料が必要な植物公園です(一般500円)。開園時間・休園日とあわせて公式サイトで確認を
2. 武蔵野の森公園(東京都三鷹市・調布市・府中市)
調布飛行場に隣接する公園で、朝日サッカー場が活動拠点として位置づけられています。防災トイレ用の手押しポンプが設置されており、水の確保が考えられた造りです。飛行場が近いこともあり、空からの支援も想定しやすい立地といえます。
- 所在地:東京都三鷹市大沢、府中市朝日町、調布市西町
- アクセス:西武多摩川線「多磨駅」から徒歩約5分
- 防災上の位置づけ:大規模救出救助活動拠点(朝日サッカー場)
- 整備された設備:ヘリポートとして使える広場、防災トイレ、非常用照明、防災トイレ用手押しポンプ
3. 小金井公園(東京都小金井市ほか)
5つの市にまたがる広大な都立公園で、「いこいの広場」が活動拠点になっています。ソーラー式の照明が整備されており、停電時でも足元の明るさが確保されます。江戸東京たてもの園が併設され、桜の名所としても知られる公園ですが、非常時には救助の足場に変わります。
- 所在地:東京都小金井市桜町・関野町、小平市、西東京市、武蔵野市
- アクセス:JR中央線「武蔵小金井駅」から西武バスで「小金井公園西口」下車
- 防災上の位置づけ:大規模救出救助活動拠点(いこいの広場)
- 整備された設備:ヘリポートとして使える広場、防災トイレ、非常用照明、ソーラー式照明
4. 武蔵野中央公園(東京都武蔵野市)
広い原っぱが特徴の公園で、ヘリコプターの緊急離着陸場として位置づけられています。緊急時にヘリポートとして機能する広場のほか、救援物資の荷さばき場所や、運搬用トラックが通れる園路が整備されています。普段は思い切り走り回れる原っぱが、非常時には物資の集積地になります。
- 所在地:東京都武蔵野市八幡町2-4-22
- アクセス:JR中央線「三鷹駅」北口・「吉祥寺駅」北口から西武柳沢駅行きバス「武蔵野中央公園」下車、徒歩約1分
- 防災上の位置づけ:ヘリ緊急離着陸場
- 整備された設備:ヘリポート機能を持つ広場、荷さばき場所、運搬用トラック用園路
5. 東大和南公園(東京都東大和市)
こちらもヘリ緊急離着陸場に位置づけられている公園です。米軍の大和基地跡地の一部を整備し、1986年に運動公園として開園しました。武蔵野中央公園と同様、ヘリポートとして使える広場と、物資を運ぶための園路が整えられています。
- 所在地:東京都東大和市桜が丘2・3丁目
- アクセス:西武拝島線・多摩モノレール「玉川上水駅」から徒歩約5分
- 防災上の位置づけ:ヘリ緊急離着陸場
- 整備された設備:ヘリポート機能を持つ広場、荷さばき場所、運搬用トラック用園路
6. 木場公園(東京都江東区)
木場公園は、そもそもの成り立ちが防災と結びついています。昭和44年、江東再開発構想のなかで防災拠点のひとつとして位置づけられ、木材関連業者が新木場へ移転したのを機に整備されました。都市の真ん中に大きな緑を確保すること自体が、延焼を止め、人を受け入れる備えになるという発想です。地下鉄の駅から歩いて行ける都心の公園という点でも訪れやすい場所です。
- 所在地:東京都江東区木場4・5丁目、平野4丁目、三好4丁目、東陽6丁目
- アクセス:東京メトロ東西線「木場駅」から徒歩約10分
- 防災上の位置づけ:避難場所、ヘリコプター離着陸場の候補地
- 成り立ち:昭和44年、江東再開発構想のなかの防災拠点のひとつとして位置づけられた
自分の街の防災公園を調べる3つの方法
- 区市町村のサイトで「公園 防災施設」を探す:江戸川区のように、防災施設のある公園の一覧表を公開している自治体があります。世田谷区のように、かまどベンチやマンホールトイレの仕組みを解説した資料を出している区もあります。どこに何があるかまで分かる形かは自治体によって違うので、まずは自分の区市町村のサイトを見てみてください。
- 避難場所の指定を確認する:自治体の防災マップには、公園が避難場所として指定されているかが載っています。家から一番近い公園が指定されているかどうかは、知っておく価値があります。
- 現地で設備を探してみる:いちばん確実なのは、実際に歩いて見つけることです。ベンチの座面、マンホールの蓋の色や表示、井戸のポンプ。防災設備には説明板が付いていることが多いので、散歩のついでに読んでみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 防災公園は東京都内にいくつありますか?
東京都は、都立公園のうち「大規模救出救助活動拠点」「ヘリコプター活動拠点」に位置づけられたもの、または「避難場所」に指定されたものを防災公園と呼んでおり、都内には63か所あります。
Q. かまどベンチは自由に使えますか?
かまどベンチは災害時に炊き出しなどで使うための設備で、平時に自由に火を起こしてよいものではありません。防災訓練で使われることがあるので、地域の訓練に参加すると実際の使い方を体験できます。
Q. 避難場所と避難所は違うのですか?
違います。避難場所は火災などの危険から一時的に身を守るための広い空間で、公園や広場が指定されます。避難所は生活の場として一定期間を過ごす施設で、学校の体育館などが指定されることが多くなっています。どちらが近いかは自治体の防災マップで確認できます。
まとめ
防災公園は、特別な施設ではありません。いつも子どもが遊び、犬が散歩し、誰かが昼寝をしている、あの公園です。ただ、そこには非常時に切り替わる仕掛けが埋め込まれています。9月1日を前に、近所の公園を「もしものときにどう使う場所か」という目で一度歩いてみてください。ベンチの座面や足元のマンホールが、少し違って見えてくるはずです。
なお、避難場所や活動拠点の指定は見直されることがあります。実際に備えるときは、最新の情報を自治体の防災マップで確認してください。
ミドリハッケンでは、東京の公園・緑地の詳細情報を掲載しています。近所の公園を探すときは、ぜひスポット検索を使ってみてください。